投資は複利でお金を効率よく増やせる手段である反面、リスクもあります。
どんな投資商品にどんなリスクがあるかについては、別の記事でご紹介します。
また、投資で運用しているお金は、急に必要な時に自由に引き出すことが難しいものもあります。なので、全てを投資につぎ込むのはおすすめできません。
では一体、投資に回せるお金はいくらか? 巷には、
「貯蓄のうち、〇〇%は投資に回せる」
「年齢によって、投資に回す割合はこれだ!」
など、根拠のない目安や考え方が溢れています。
ですが、 人それぞれの事情によって、かなりの差があると思っています。その辺りをちゃんと考えないと危険です。
そこで今回は、投資にまわせるお金の目安を、その算出プロセスを、理由とともに説明します。ぜひこれを読んで、自分にとってのベストな投資額を考えてみてください。そして少しでも投資に回してお金を増やしていきましょう。
お金を3つの分類に分ける
あなたの持っているお金(資産)を、以下の3つに分けて考えてみましょう。
生活に必要なお金
日々の生活を維持するための、食費や水道光熱費、家賃、通信費などの生活費です。
毎日(毎月)、命を維持するのに必要なお金なので、いつでも使える場所に置いておく必要があります。
これを投資にあててしまうと、必要な時にすぐに現金化できないだけでなく、投資に失敗した時に、大変な事態に陥ります。ですので、生活に必要なお金は投資に回さず、確保しておく必要があります。
では、生活に必要なお金をいくら残しておくかというと、人それぞれのライフスタイルによってかなり違います。ですが、生活費は毎月ほぼ変わらないと思いますので、まずは自分が一か月にどれだけ使っているかを調べて、把握しましょう。
そして、最低でも3か月分は、預貯金で手堅く保管しておくことをおすすめします。
「最低3か月分」の理由ですが、万一病気などで今の仕事を自分都合で辞めることになった場合、国から 失業給付金 が支給されますが、失業してから3カ月間は受給できません。その間は自分の貯金を使って生活を維持しなくてはならないため、その分は投資に回さずに確保しておいた方がいいのです。
理想は6カ月~1年分 というのが私の考えです。
これは、失業して次の働き先(収入源)を得るまでに、どれぐらいの期間を要するか、という考えに基づいています。失業3か月後から失業給付金をもらえますが、当然、無期限ではありません。
会社都合で辞めた場合の受給期間
自己都合で辞めた場合の受給期間
例えば、あなたが7年働いた会社を自己都合で辞め、次の就職先を得るまでに1年間かかると想定すると、その1年間の内訳は、
失業から3カ月の無給期間 →その後3か月の受給期間 →さらに無給の6カ月間
となり、受給期間を除く9カ月分の生活費を貯金でまかなうことになります。
例えば、35才のあなたが、7年働いた会社を会社都合で辞め、次の就職先を得るまでに1年間かかると想定すると、その1年間の内訳は、
失業から3カ月の無給期間 →その後6か月の受給期間 →さらに無給の3カ月間
となり、受給期間を除く6カ月分の生活費を貯金でまかなうことになります。
このお金は、預貯金として保管するのがおすすめです。預貯金は利率が0.001%しかありませんが、預けた銀行が経営破綻しても、1000万円までは国が全額保障してくれるからです。
生活に必要なお金のまとめです。
有事に必要なお金
人生には、結婚や出産、子供の養育費、住宅や車の購入等、大きな額を必要とするのライフイベントがあります。また、災害や病気やけがでも多額を要することがあります。
ライフイベントに要すお金は、独身か家族かなどで、ある程度想定できるので、どんなものがいくら必要になるか、調べておきましょう。
その中で、ポイントとしては、
・養育費など絶対に必要なものは、リスクを伴う「投資」に回さない。
・〇〇年後に住宅を購入など、長期で、絶対必要ではない計画は、その資金の一部を「投資」で効率よく貯めるのがよいかもしれません。
・災害や病気やけがなど予期せぬイベントには、「保険」と「投資」のどちらで対処するかを吟味する。
のがよいと思います。
そして、絶対に必要と考えるお金は、投資に回さずに取り分けておきましょう。
ここまでのまとめです。
イメージにすると、こんな感じです。
残ったお金が投資に回せる余裕資産
まずは、「生活に必要なお金」と「有事に必要なお金」のうち、絶対に必要なものを、一日も早く貯めましょう。
それが確保できたら、ようやく「投資」をスタートできます。
ここから貯まったお金は、使う予定のないお金なので「投資」に回すことができます。
ただし、投資にはリスクが伴います。元本保証ではないので、あなたが納得のいく額を資産運用に回しましょう。
そして当然ですが、「生活に必要なお金」と「有事に絶対に必要なお金」が少しで済むライフスタイルにすることで、投資のスタート時期は格段に早まりますし、投資額も格段に増えます。
投資にはリスクヘッジが必要
いかがでしょうか?
投資は複利でお金を効率よく増やせる手段である反面、元本保証ではなく、減らしてしまうリスクがあります。
それでも、長期運用により莫大な資産形成も可能という点は大きな魅力です。
想定外の結果になっても生活を維持できるよう、今回ご紹介したリスクヘッジをした上で「投資」に臨むことをおすすめします。