談)前に紹介した我が家の「ミニ・キエーロ」。臭わず堆肥化が早い脅威のコンポストとして多くの自治体が推奨しています。でも実際にやった人の半数位は失敗しているようです。今回は失敗しない我が家の特別仕様コンポストの作り方と継続のコツを、詳しく実践を交えてご紹介します!
ミニ・キエーロとは?キエーロとの違い
キエーロを手軽にできるようにと開発されたミニ・キエーロ。どうして失敗しやすいのでしょうか? 私は、ミニ・キエーロならではの問題だと思っています。
本来の「キエーロ」は、庭の土の中に埋めて使うタイプです。
これをベランダで使える箱型に改良した「キエーロ」は、高さ79センチ、幅94センチ、奥行き47センチ、重量27キロととても大きいです。
しかしながら、多くのマンションはベランダが狭くて、この大きさは無理があります。
キエーロは、戸建ての庭付き住宅用です。
じゃぁマンションやアパートで菜園をしたい人は、キエーロが使えないの?
そういった要望が多かったのでしょうね。よく自治体の取り組みで紹介されている「ミニ・キエーロ」が考案されました。
大型の野菜プランタに透明の波トタン板で蓋をつけたもので、手軽に作れます。これならベランダに置けます。でもやっぱり失敗したくないですね…。
キエーロと何が違うのか?
もちろん大きさが全然違います。「キエーロ」は、毎日家庭で出る生ゴミを、全て堆肥化できる大きさです。
一日に出た生ゴミを一か所に埋めます。
翌日の生ゴミを、別の場所に埋めます・・・
キエーロには7か所分のスペースがあるので、月曜日に埋めた場所は、次の月曜日には堆肥化されて、次の生ゴミを埋めれるようになっています。だからドデカいのです。
一方、ミニ・キエーロは2か所分のスペースしかありません。なので週に2回分の生ゴミを堆肥化できる容量です。
容量が違うだけですが、キエーロの失敗談は聞いたことがありません。ところが「ミニ」が付くと、どうして失敗しやすいんでしょうね?それを解説します。
ミニ・キエーロで失敗する理由と対策①
失・敗
これが具体的にどういう状態か、想像できるでしょうか?
生ゴミが分解されずに土の中で腐敗し、ベランダで悪臭が漂う状態です。
失敗すると、どうやって処分するか に、頭を悩ませなくてはいけません。大変なのは想像に難くないですね。
どうして正常に分解されないのでしょう?
キエーロでは、生ゴミを、コンポストの中の黒土にいる微生物が分解します。
微生物が活発に働く条件は、「湿度」と「温度」と「酸素」です。
ミニ・キエーロで失敗するのは、殆どが「秋~冬」の季節。そう、この条件の中の「温度」が重要です。つまりキエーロの中が温かくないと、分解が進まないのです。
ではどうして、キエーロは年中、失敗なしなのでしょう?
それは、キエーロの内側に断熱材が貼られていて、冬でも内部を温かく保てるようにしているからなんです。
でも、キエーロの上部は隙間があるよ。そこから冷気が入ってくるのでは?
確かに隙間がありますね。
でも、上部は透明で、太陽の光が全面に入ってきます。これが、プチ温室的な役割をしているんですね。
みなさんも冬なのに車中が暑い、という経験がありますよね? キエーロもこれと同じような温室効果を狙っているんです。
一方、巷のミニ・キエーロはというと、薄いプラスチックだけなので、冷たい外気にさらされて、内部が冷えてしまうんです。
なので、失敗しないためには、ミニ・キエーロにも断熱材を導入するのがいいんです。
私が作った「ミニ・キエーロ」の作り方はこちらを参考にしてください。
コスパ重視で作っていますので、どうしたら安く作れるか、材料選びで失敗したくない方は、参考になるかと思います。
我が家ミニ・キエーロです。しっかり稼働しています。
参考までに、内側のサイズは27㎝×57㎝です。
野菜プランターでミニ・キエーロを作る場合、内側に断熱材を入れると、土を入れる場所がなくなってしまいます。
というのは、断熱材の厚みは私の計算では「3㎝以上」が理想、最低でも2cmはいるからです。
プランターで作る場合は、見栄えは気にせず、プランターの周囲に断熱材を巻く方法じゃないと、難しいと思います。
市販品で作るなら、下のような大きな収納の中に、断熱材を入れる、というのがいいと思います。
ミニ・キエーロで失敗する理由と対策②
キエーロには「黒土」が必要です。腐葉土ではダメなんです。
なぜかというと、「黒土」の中の微生物が、生ゴミを分解する、という仕組みだからなんです。腐葉土っていい響きなので、入れたらよりよくなりそうな気がしますが、これを入れると、返って腐敗の原因になるんですね。
だから、入れる土は、「黒土」オンリーがいいです。
ちなみに黒土は、ホームセンターで取り扱いがなくなってきています。(この先、キエーロが流行れば、取り扱いされるかもしれません)。私は在庫6袋を買い占めて、ギリギリ間に合いましたが、この先はネットからの調達になります。
色々と探しましたが、これが安くてこれおすすめなので紹介しておきます。Amazonプライム会員であれば送料無料です。
ミニ・キエーロで失敗する理由と対策③
先ほども紹介しましたが、微生物が活発に働く条件として大事なのは「温度」です。
土中の温度を上昇させるには、
①微生物に活発に働いてもらう
②外から熱を入れてやる
の2択になります。
そこで、断熱材と併せて重要なのが、「太陽の光」です。
特に冬場の熱は、太陽光に頼るしかないので、とても重要です。
断熱材だけで、太陽の熱が得られなければ、内部は冷却され、失敗します。
ミニ・キエーロの置き場所は、できるだけ内部に太陽の光が入る、日当たりのよい場所にしましょう。
ミニ・キエーロで失敗する理由と対策④
微生物が活発に働く条件は、「湿度」と「温度」と「酸素」でしたね。
その一つ、「酸素」についてです。
一般的なコンポストで使われるEM菌は、酸素を嫌うので、逆に蓋して密閉して熟成させるのですが、ミニ・キエーロの住人である黒土の「微生物」は、小さいけれど、ちゃんと酸素を吸ってる、私たちと同じ呼吸をする生き物です。なので、蓋は風が通る隙間開けるんです。
土の中に酸素がないと、微生物が死んでしまいます。そうなると、生ゴミが分解されずに腐敗するだけでなく、死んだ微生物も腐敗して、ダブルパンチです!
失敗しないコツは、こまめに土の中に酸素を送ることです。
具体的には、
・風通しの良い場所にミニ・キエーロを置く
・土をこまめに混ぜる
です。
どのくらいこまめに混ぜるかですが、我が家では、1日1回、スコップで混ぜ混ぜする程度です。これでちゃんと分解されています。
数日旅行で家を空ける程度はどうってことないですが、日々の日課にしておくことで、自分の負担もないと思います。
ミニ・キエーロで失敗する理由と対策⑤
微生物が活発に働く条件、「湿度」と「温度」と「酸素」。
今回はその一つ、「湿度」についてです。
ミニ・キエーロ の上部は、微生物の酸素補給のために、最低限必要な隙間が設けられています。なので、そこから土中の水分が蒸発していきます。
冬場はさほど気にすることもないのですが、夏場は特に蒸発が激しいので、1日で土が乾いてしまいます。
土が乾いても、一緒に生ゴミも乾いていくので、その分、生ゴミの腐敗の進行も遅くなります。ですが、肝心の分解が進みません。
ミニ・キエーロは、通常1週間で完全に堆肥化されるので、1週間後には、次の生ゴミを投入できるはずなのですが、夏の好条件にもかかわらず、次のゴミを投入できなくなってしまします。ですので、
・1日1回は、土の乾きをチェックし、必要なら水をかけましょう
・その土を混ぜましょう
こちらも、ルーチンワークにするのがおすすめです。
実際私は、この作業を結構楽しんでます。
あっ、もう土になってる~、とワクワクするんですね。それに、生ゴミに混じった種が発芽してると、ほのぼのします。
ママはよく、中をのぞいてニヤけてるもんね
入れる生ゴミのポイント①
基本的に、生ゴミであれば、なんでも分解するんですが、分解の速度が違います。
分解が早いものは、残飯、肉、魚類です。
逆に、分解が遅いのは、太い骨、貝殻、大きな種(桃など)、根菜類、とうもろこしや枝豆など固い皮、玉ねぎの皮、です。
分解が遅いものは、避けた方がよいです。
または、これも大事なポイントなんですが、
生ゴミは細かく刻んで入れる
です。大きいものほど、分解に時間がかかります。これは失敗のもとです。
手間がかかりますが、できるだけ、刻みましょう。
先ほどの根菜類などは、細かく刻めばちゃんと分解されています。
どれぐらい細かく刻めばいいの?
経験上は、1センチ角よりは小さくした方がよいです。私は5mm各位にしています。
私がやっている方法は、
まな板の上に生ゴミを置いて、2本の包丁をそれぞれ両手に持って、交互にカタカタと刻んでます。チタタプ、チタタプ、といいながらやってます。
参考までに、お見苦しい我が家のコンポストの中身をおみせしましょう。
これが、ある日の我が家の1日の生ゴミです(刻み終わったところ)。コーヒー豆のカスがメインで、あとは殆どないと思います。この日は急いで作ったため、結構野菜クズを出してしましました。ですが我が家は基本、食べれない箇所以外は全て食べるので、多分一般家庭よりは相当少ないとおもわれます。
これで、約150g です。500gまでまだまだいけます。
こんな風に土をほって、中に入れます。それをスコップでまぜます。
混ぜるとこんな感じに。この時、水をかけることを忘れずに。
そこにまた土をかぶせておきます。
一週間後の状態です。掘り起こしても、だいたい姿はかわりません。ちゃんと堆肥化されていますね。
我が家は1日の生ゴミを少なくすることで、ある1週間は左側に入れ続け、次の週は右側に入れ続け、、を交互に繰り返しています。
入れる生ゴミのポイント②
もう一つ、大事なポイントと思うことです。
1回(1か所)に埋めていい生ゴミの量の目安は、500gにしましょう。
一度、自分の家の生ゴミの重さを計って、目安の量を確かめておくのをおすすめします。
あまりにたくさん出るような時は、乾かしてから投入すればいいです。
500gというのは、乾燥前の重さではなく、乾燥後で考えても大丈夫です。
あまり身構えなくていいです
失敗するケースばかり書いて脅してしまったようですが、実はこういう知識だけもっておけば、「毎日必ず」などの厳密な管理は一切不要、大惨事にはならないで済むと思います。気軽に楽しんで続けてください。
私も、ミニ・キエーロ仲間ができたらいいな、と思っています。始めたらぜひ教えてくださいね!わからない事があったら聞いてください。