染色排水から考える

 

草木染について調べていたら、染色排水 のことを知りました。

 

染色排水とは、染色工場から出される、染料や化学物質を含む廃水です。

生態系に悪影響を及ぼすから、処理して排出しないといけないけど、未処理で流されたり、そもそも国の基準値内で排水しても、今の技術では浄化しきれないそうです。

 

意識してなかったけど、よくみると私たちの周りは、色で溢れています。

衣服、建物のペンキ、化粧品、雑貨… 色と無関係なものが思いつかないほど。

今、染色排水は、世界で2番目に大きな水の汚染源となっています。

 

宝石加工業者が重金属の染色液などを不法投棄した川(2015/9、中国・広東省恵州市)

 

皮なめし工場からの排水で赤く染まった池。(バングラデシュ、2005/5)

 

インドネシアのCihaur川。(2013/3)

 

ベトナムの繊維工場からの廃水

 

 

日本でも。。染色排水で赤く染まった鴨川(2021/1)

 

染色排水は、重金属混入、ph異常、酸素異常など、深刻な問題です。

引用:2016.4.21 アジアにおける水環境改善ビジネスに関するセミナー 資料 より

 

見てるだけでゾっとしました。それに、

そこで生活する人は大変だなぁ…💦

と、他人事のように思ってたら大間違い。対岸の火事じゃ、ないんだよね。

 

加害者は自分だった

川の汚染はやがて海を汚染し、魚介も被害に遭うから、私達の生活にも決して無関係じゃないんだけど、、

 

こうした汚染は、私達消費者の "欲しい" のために起きていて… 生きるためにそこで働く人や、周囲の環境に打撃を与えてる張本人が、私達ってことになるんだよね。

 

店頭に並ぶ「きれいな色」「いい肌ざわり」「高性能」を安く買って、何も知らずに涼しい顔で使い捨てして、大量の汚染を出していたと… 知ってしまった… というか、見ぬ振りをしたんだと思います。

 

だって、そのせいで、どこかの国の誰かが、苦しんでいると思ったら、怖くなってしまうから。

 

数字でみる

衣服のライフサイクルで追ってみると、私達の生活は、すっごいムダと汚染の垂れ流しでした。

 

■ 使い捨ての時代

昔より服が安価になって、長く大事に着るより、トレンドに合わせて使い捨て感覚で着る、そんなライフスタイルが今は主流です。

 

日本人口1億人として、毎年一人40着服を買って、9割を使い捨てしている計算です。靴下や下着も含まれるけど、結構な量ですね。

 

■ 6割が化繊

綿などの自然素材を着てるから、環境に優しいはず…と思ったら、今は衣服の6割がポリエステル原料なんですって。原料費がずっと安いから。綿やウールと思ってタグみたら、ポリエステルだったって、あるあるですもんね。

 

■ 買ってからも、ガンガン環境破壊

購入後は、私たちが洗濯することで、世界中で毎年50万tのマイクロファイバーが海に流出しているそうです。ペットボトル500億本だよぉ!先ほどのポリエステル服もですが、海に流れ込んでも分解されません。

 

現在、海中のマイクロプラスチックの35%は、ポリエステルなどの化学繊維を洗濯したことが原因だそうです。(国際自然保護連合(IUCN)の2017年レポートより)

 

無染色の衣服を買えばいいの?

じゃぁこれからは、みんなで無染色の服にしよう~!

 

そうすれば、染色排水の汚染はなくなるかも。確かに、草木染など自然由来の染料は、環境に優しくて、衣類の他にもプリンタインクなど、多分野での活用が検討されています。お遊びの草木染も、自分の服を染めて使うことで、少しでも汚染を減らせるかも。

 

だがしかし… 根はもっと深いのだった。

 

綿シャツを1着作るのに、約2400Lの水を使うんだって。ジーンズ1本だと約7600L。どちらも、作るだけで大量の水を必要とします。

 

 

ウズベキスタンでは、綿花栽培のせいで、50年でアラル海(世界で4番目に大きな湖)が干からびたそうです。汚染だけでなく、水問題もあるんですね。

 

別の側面では、オーガニックコットンなどクリーンイメージを謳う農場でも、安く売るために、裏で強制労働や児童労働がなくならず、人災も起きているんだとか。

 

もうね、服を着ること自体、すごい被害を出すサイクルなんですね。

知らなかったです。。

 

どうしたらいいんだろう?

汚染が進んだ世界で、将来子供達は生きてゆけるのかな?

裸では暮らせないし。。考えると沼にハマる。

 

ホセ・ムヒカ大統領のスピーチを思い出しました。

 

私たちは消費をひたすら早く、多くしなくてはなりません ~ 消費が止まれば経済が麻痺し、不況のお化けがみんなの前に現れます ~ 人がもっと働くため、もっと売るために「使い捨て社会」を続けなければならないのです。

 

 ~ 私たちは発展するためではなく、幸せになるために地球に生まれてきました ~ 人類の本当の幸福を目指しましょう。愛、人間関係、子供へのケア、友達を持つ、必要最低限のものを持つ。幸福が私たちにもっとも大切な「もの」だからです。

 

再び沁みた、吾唯知足

界面活性剤を含まない石鹸で洗濯するとか、長く大切に着るとか、服だけでも、できることは色々あるけど、どういう価値観で生きるか、究極はそこだろうなぁ。

 

考えだすと、自分の存在自体が悪に思えるから、辛いデス。

それでも、できることは少しでもやっていかないとなぁ。

 

私達のようなちっぽけな存在から出た、少量の毒の支流が、集まって汚染の大河を作っていると思えば、逆に小さな改善は、大きな効果に繋がるかもしれないから。

 

たまーに気まぐれで、偽善者よしまるがニョキっと顔を出します。

おつきあいいただき、ありがとうございました。