家のストックを漁っていたら、吉野の千本桜を見に行った時に買った「本葛粉」が出てきました。
そこで『くずもち』を作ることにしました。
旅の余韻を味わう楽しさ
私は旅行すると、できるだけ「現地の食材」を持ち帰るようにしています。
鮮度の高いものはすぐに、保存が効くものはしばらく経ってから食べます。
作りながら食べながら、旅の思い出がちょろちょろと蘇り、それはもう、ただの食べ物とは全然違う味を出してくれます。 旅の後も余韻を楽しめますからね。
葛粉は自分で作れる
私もいつかは自分で葛の根からくずもちを作りたいと思っています。
葛粉って、葛の根から作るデンプンなのですが、なにも山の植物という訳じゃなくて、探せば都会の塀やフェンスでもよく見かけます。繁殖力旺盛すぎて、どうやって除草するか悩みの種になる位の代物です。こんな感じの葉、見たことありませんか?
どこでも見かける葛ですが、かなり手間のかかる作業で、未だに手が出せずにいます。
根を掘ったら砕いて繊維質にして、水に浸けてもみ洗いしたら、根を取り除いた茶色い水を放置、デンプンが沈むので上澄みを捨てて、また水を足して混ぜて放置、上澄みを捨てて、これを何十回水が澄むまで続けるとわずかな白い粉が残る、それが葛粉です。
わかっちゃいるけど、大変そうです。
吉野の葛屋さんの話では、より白い純度の高い葛粉に仕上げるために、この作業を寒い冬に行うため、大変な重労働なのだそうです。
手間が味わいを増す
昔の人はこうした手間を惜しまず、その手間ごと味わったのではと思います。
葛餅にかけるきな粉も、乾燥大豆をきめ細かな粉になるまで挽いて、サトウキビや麦を煮詰めてできたわずかな蜜をかけていただく、、、。
こうした手間があるから、その一口が、ずしんとした、趣深い味わいになるんじゃないかと思ったりします。だから、甘いお菓子も少量で済んだのかもしれません。
私はその大変な工程を全部スルーして粉から作りましたが、それでも「作る」という作業が少しでもあると、自分の中で美味しさがぐっと増します。
多くの市販品はさつまいもデンプンが材料ですが、本葛粉の方が口当たりも滑らかで上品な味わいです。材料を買って作るからこそ、美味しいものを安く食べられるといったうれしさがあります。
一方で、デンプンという意味では家にある「片栗粉」で代用できるので、これを知っておくと、思いついたときにいつでも食べられます。 片栗粉くずもちだって、自分で作るととっても美味しいですから!
作り方は簡単
鍋に水400cc、葛粉100~140g(柔らかいのがよければ100gで。私は固めが好きで140g)、砂糖を大さじ4入れ、中火にかけます。
なべ底に粉が沈まないようにヘラで回し続けます。沸騰してきたら弱火にしてさらになべ底に付かないように混ぜ続けます(だんだん力がいります)。
まだまだ混ぜます。だんだん手が疲れてきます。
これくらいの透明感になったら、火からおろしてすぐに容器に移します。
手早くやらないと、やっている先から固まってきます。急いでね!
表面が乾かないようにラップします。
しばらく氷水につけて冷やし固めます。
できあがり。さっそくいただきます!
んまーい!
ちなみに、写真のきな粉は、節分の時に豆まきした余りを粉にして砂糖を加えて作ったもの、黒蜜は黒砂糖を煮詰めて作り置きしているものです。こうして家で作ると、高い黒蜜だって、惜しみなくかけれるというものです。(私は黒蜜ダバダバ派です)
食べながら、山一面が薄ピンク色に染まった景色や、桜の花びらが風で舞う姿を思い出しました。千年以上前から人々に植え続けられてきた吉野の千本桜、豊臣秀吉の茶会の逸話もあって、歴史を感じますね。
今日はくずもちで涼を楽しみました。